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直接買い付け展示販売
陶芸家の吉岡孝幸さん(74)と妻の公子さんが営む陶器店「ギャラリー吉岡」が10月末、白石区の南郷通沿いから同区内の自宅兼工房内に移転オープンした。 吉岡さんは15年前まで公務員として働きながら陶芸を続け、定年退職を機に、公子さんがオーナーとなってギャラリーを開設。夫婦で年に4回、備前焼や益子焼、笠間焼などの窯元を巡り、現地で直接買い付けた作品を展示してきた。手ごろな価格で販売もしており、移転と同時に信楽(しがらき)焼を増やし、伊賀焼を新たに加えた。
「ギャラリーで扱う作品は、同じ作家が手掛けたものでも、自分の目で確かめないと気が済まないんです。店舗については自分たちの年齢を考え、お客様にもゆっくりお茶を飲みながら過ごしていただこうと移転を決めました」と公子さんは語る。 新しい店舗は地下鉄東西線白石駅から南東へ徒歩約7分。玄関で靴を脱ぎ奥に進むと、居間と客間に展示棚が広がり、安らぎに満ちた空間で焼き物に親しめる。落ち着いた色合いの作品が多い中で、赤や緑などの色が印象的な若手作家の作品も目を引く。
孝幸さん自身の作品は、素朴で渋みがある作風が魅力だ。灯油窯を愛用し、うわぐすりをかけずに高温で焼成する「焼き締め」の技法で独特の風合いを出している。土の鉄分と、窯の中に仕掛ける木炭などから気化する成分が反応して色が変化し、一つとして同じものはない。ファンも多く、売り切れていることが多い。 また、店頭で人気の備前焼は、窯の温度を保ちながら1週間もかけて焼くため、割れにくい丈夫な器ができる。9月6日の北海道胆振東部地震の震源に近い、むかわ町のお客さんが「ほとんどの食器が割れたのに、ここで買った備前焼だけは無傷でした」と教えてくれたそうだ。
自分で使うために陶芸品を買うのは、子育てを終えた世代が多く、贈答用としては幅広い世代に人気がある。還暦祝いや父の日には、気泡が長持ちしてビールがおいしくなるという備前焼のビアカップが喜ばれている。 徳利(とっくり)やぐい飲み、マグカップなど多彩な食器が並んでおり、お気に入りの品がきっと見つかるはずだ。
◇所在地
札幌市白石区東札幌1の5の8の6。 電話011・814・6514。10時半〜17時。日・月・火曜日定休。
◇毎日フレンド会員特典
会員証または携帯クーポン画面提示で、備前焼、益子焼、笠間焼の陶器を現金払いに限り5%引き。 ただしセール品は除く。
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